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「ロンドンはいつも曇っている」という意見をよく聞きます。ヤフー!知恵袋内にも同様の質問が散見されます。もやがかかったイギリス風景画の名画は多く、普仏戦争を逃れてロンドンで一時暮らした印象派画家のクロード・モネは「霧がなければロンドンは美しくないだろう」と語るほど、「倫敦と云えば曇天」が通説となっているようですが、実際はどうなのか調べてみました。
気象庁ウェブサイトから東京の月別平均日照時間を、またロンドンの日照時間はGOV.UKのデータを引用して過去11年分の月別平均日照時間を比較しました。(以下)
月別にみると1月、2月、11月、12月の日照時間は確かに少なく、毎年2時間前後となっていました。日照時間が2時間/日であれば一日中曇っているイメージなのも無理はありません。しかし夏は東京と比べてさほど少ないわけではないようです。年間平均日照時間(画像右下)は東京より毎年1時間前後ほど少ない程度です。
西岸海洋性気候に属するイギリスは北大西洋海流によって温められた空気が偏西風に乗って送られるため日本より高緯度ながら比較的暖かく、また島国であるため水蒸気が多く雲が発生しやすい地域です。そして冬に雲が多いのは、その暖かく湿った空気(暖湿流)が陸上の冷たい空気(寒気団)に進入すると、大気が不安定化し雲が発達するからとみられます。