カテゴリー: <span>統計</span>

D・アトキンソン氏の主張のウソ・矛盾・証拠なし一覧

 デービッド・アトキンソン氏が「幼稚な議論から卒業せよ」と上から目線で言っている割には論理が矛盾していたり、主張のエビデンスがなかったりして突っ込みどころが満載だった森永康平さんとの動画を視聴したので、その感想と氏の主張に対する指摘一覧です。

賃金が上がらないのは「生産性・イノベーションが足りないから」は本当か?

 「賃金を上げるのに最も効果的なことは何ですか?」―「それは生産性の向上です」「イノベーションを起こすことです」長いことよく聞くフレーズです。確かに1日100個しか売れなかったものを生産性を上げて200個売れたら売上は2倍です。またイノベーションを起こしてこれまでにないものを作れるのであれば付加価値を高められるので一見説得力があるように思えます。経済界や日本政府はこの響きに共感を得て長いこと悪戦苦闘してきました。が、実際に「付加価値」はそんなに高まりましたか?また仮に付加価値が上がったとして、賃金は上がりましたか?賃金を上げるために生産性向上やイノベーションが本当に不可欠なことなのか、ミクロの観点だけでなくマクロの視点で見直してみると、どうやら「無駄なあがき」のように思えてきました。

債務償還費を除いた「ワニの口」実は閉じかけていた

 財務省が財政出動を減らすために使われる通称「ワニの口」ですが、「財務省の「公債依存度」にあるアンフェアな点」でも書いた通り、日本の一般会計歳出に計上されている「国債費」の内訳の一つ「債務償還費」は他国では一般会計には計上されていないことから、その債務償還費を取り除いたワニの口を作り、世界と比較してみました。

日本人の所得と物価を他国と比較する

 バブル景気以降日本の物価は停滞し続けており、この物価の停滞が日本経済を悪循環させています。とはいえ収入が少なければ物価の上昇は迷惑です。一方ポジティブに考えれば世界一物価が安定している国であり、「日本はもう成長しない」論を主張する経済学者や評論家の中には「むしろ今で良い」との意見もあります。確かに「所得」が増えているのであれば、物価の停滞はむしろ人々の暮らしにとって良い事と捉えられるはずです。そこで、日本の所得と物価を世界の主要国と比較してみました。

財務省の「公債依存度」にあるアンフェアな点

 「ワニの口」と同様、財務省が国家財政の危機を煽る指標の一つに「公債依存度」があります。
公債依存度とは歳入(年間収入)総額に占める借金の割合を表した指標で、財務省「日本の財政を考える」のページにて紹介していますが、財務省の公債依存度算出方法にアンフェアな部分があったので書き留めておきます。