「満月」より「新月」の方が殺人は多いが、何れも少ない

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　「満月の日に犯罪が多くなる」「満月は殺人件数が多い」などという俗説があるそうです。調べてみると2007年に英警察が発表した説のほか、GIGAZINEやカラパイアなどでもこちらは否定的ですが報じられています。日本ではどうなのか、平成期間に発生した殺人事件データを元に推算してみました。

　法務省「犯罪白書」によると、平成元年～30年までの殺人事件認知件数の累計数は36,035件で、1年あたり1,201件になります。また1日当たりでは3.29件発生していることになり、仮説に基づけば「満月の日」の殺人件数はこの3.29件より多くなるはずです。

　出来ることであればこの期間の全ての殺人事件の裁判記録を取り寄せて調べたい所なのですが、閲覧申し込み手数料だけで莫大な費用がかかり難しいので、Wikipediaの平成時代の殺人事件に掲載されていて、かつ犯行日が特定されている事件計306件を標本として抽出し（以下）、この中で犯行日が満月の日だった事件が何件あるかを調べて凡その満月の日の殺人件数を算出してみます。なお満月の年月日は国立天文台とこよみのページの月齢カレンダーを元に特定しました。

●犯行日が特定されている事件とその日が満月かのリスト

　抽出した事件全306件のうち、満月だった日は7件でした。ここから母集団での満月の日の殺人件数を824件と概算。平成期間に満月の日は364回あるので平均2.26件となりました。１日あたりの平均殺人件数が3.29件なので、満月の日に殺人は多いどころか、平均を下回る結果となりました。ちなみに同様に新月の日の殺人件数も調べた所9件あり、ここから新月の平均殺人件数は 2.91件と算出され、満月の日より多い結果となりました。ただ何れも平均を下回る結果のため、おそらく月齢による殺人件数の影響は少なくとも日本ではないだろうとの結論になりました。