30の指標で知るロシアの実状

30の指標で知るロシアの実状

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 世界のシンクタンクや政府関連機関で公表されている指標をもとに、独自に作成したグラフを用いてロシアの実状を紹介します。

ロシアの人口は1億4500万人(2020年時点)で、ウクライナの約4倍

 国連によるとロシアの人口は1億4500万人で、ウクライナの人口4373万人の3倍超です。また軍人数はロシアが予備隊員数含め300万人とウクライナの6倍の規模となっています(下画像)。

 ロシアの人口については不審点があります。下もソビエト連邦からの人口動態を動画にしたものですが、プーチン政権になってから出生率が改善傾向にあるにも関わらず人口が減少しています。高齢化している国では死者数が出生数を上回ることはあることですが、チェチェン紛争からジョージア紛争までの期間約10年で500万人もの人口が減少するというのは医療体制に問題があるか、経済・治安その他の原因を有していると思われます。ちなみに出生率が1995年以来1.5を下回り続けている日本の人口ピークは2010年の1億2800万人ですが、2020年時点の人口は1億2600万人と10年で200万人減となっています。

ロシアの一人当たりGDPは日本の1/4で、北海道と同等

 IMFによると、ロシアの一人当たりGDPは日本の約四分の一、中国の一人当たりGDPとほぼ同等です(下画像)。

一方、ウクライナと比較するとプーチン政権以降約3倍の格差が生じていることから(下動画)、資本主義経済に移行した政策が奏功した反面、2008年のジョージア侵攻、14年のクリミア侵攻といった領土拡大の度に西側諸国からの経済制裁を受けGDPが急落するという歴史を繰り返しています。

ロシアの殺人件数はウクライナの4倍、殺人率でも勝る

 国連薬物犯罪事務所(UNODC)によるとロシアにおける男性殺人率は日本の52倍で(下画像)、ウクライナと比較しても常にロシアの方が高い殺人率となっています(下動画)。また深刻な暴行件数も多く、人口10万人あたりの暴行率はウクライナの約3倍ほどです。

ロシアの服役囚人率は日本の約10倍、ウクライナの1.4倍

 UNODCによる世界の囚人数は、毎年約200万人を収容するアメリカがダントツですが、次に多い国がロシアです。人口10万人あたりの囚人数ではロシアの服役囚人数は日本の約10倍となっています。

また刑務所内で年に千人以上の死者を出すのはロシアと米国のみで、その内訳は両国とも自然死が最も多く、次に薬物中毒、自殺、事故と続いています。下図で示すように、刑務所内での死亡率は両国とも国内死亡率より低いので、この数値が事実であるならば劣悪な環境とまでは言えないようです。ちなみに日本の死亡率(千人当たり死者数)は2019年時点で11.2人で、ロシアの国内死亡率よりやや低い数値です。最も低かったのは1982年の6.0で、日本の死亡率が近年高くなっている要因は高齢化です。

ロシアの火災件数はアメリカに次いで多く、死亡率は世界で最も高い

 CTIFによると、国土面積が大きいロシアの火災件数はアメリカに次いで多く、近年は地球温暖化によるものとみられる森林火災が増加しています(下動画)。また国連の人口データを元に算出した火災死亡率は世界で最も高く、次いでウクライナとなっています(下画像)。

ロシア人の亡命は減少、亡命先はドイツ・オーストリアよりフランスが多い

 国連難民高等弁務官事務所(UNCHR)によると、ロシア人の亡命は減少傾向にあり、亡命先で最も多いのはフランスとなっています(下画像)。ロシアとフランスの関係をめぐっては、ウクライナ戦争でマクロン仏大統領とプーチン大統領の長電話が話題となりましたが、ロシア革命によって亡命したロシア人を多く受け入れたフランスに縁故が多いからなのか、人権と経済とのバランスや文化面に惹かれてなのか、亡命者数が最も多い理由は定かではありません。

ロシア人の移民は14年以降ウクライナ人が99%を占める

 一方、ロシアの難民受入れを国別で表してみると2014年以降はウクライナが99%を占めています。14年にエスカレートしたドンバス戦争によって縁故を辿り移住したか、もしくは強制的に移住させられた可能性があります。

◆合計軸目盛の最大値を3,500人にした場合

◆合計軸目盛の最大値を35万人にした場合

ロシアの天然ガス埋蔵量は世界一位、生産量はアメリカが多い

 世界のエネルギー資源について調査しているbp Statistical Reviewによると、ロシアの天然ガス埋蔵量は世界一位で、イランが続いています。一方生産量はアメリカの方が多く、今回のウクライナ戦争によって天然ガスの輸出が一層増加することが見込まれます。

ロシア貿易で最も懇意の国は輸出入ともに中国

 The Observatory of Economic Complexityによると、ロシアが輸出入ともに懇意にしている国は中国で、ロシアがジョージアへ侵攻して主要国から経済制裁を受けるとともに、習近平が国家副主席になり実権を握り始めた2011年頃から輸出入額が特に増加しています(下動画)。今回のウクライナ戦争によって西側諸国からの制裁を受けることで、依存比率がさらに高まると予想されます。

 またGDPは年々増加していましたが、他国への侵攻がある度に西欧諸国の経済制裁を受け失速・急落し、今回のウクライナ戦争によってGDPは20年前まで下がる可能性があると指摘されています。

ルーブルの変動はマネタリーベースではなく金利が強く影響

 ロシアの通貨であるルーブルの価値は、マネタリーベース比よりも金利を操作することで維持させるのがロシア流の通例となっています。ジョージアへ侵攻した2008年に科された制裁によってルーブル安になった時、またウクライナのクリミアへ侵攻して経済制裁された時も金利を高めることでルーブルの価値を維持し乗り越えてきています。しかし今回の経済制裁はこれまでの制裁とは次元が異なるため、GDPの減退は例を見ないものと予想されます。

平均賃金は上昇も経済制裁と原油価格の下落で沈降

 ロシア中央銀行のBank of Russiaによると、ロシア国内の従業員実質賃金は上昇傾向にある一方、ジョージア侵攻やクリミア侵攻など西側諸国からの経済制裁が強まるごと、また原油価格の下落によって賃金は下がる傾向にあります。19世紀の価値観によって経済基盤を増やそうとすることが逆に経済を停滞・悪化させる原因であることが示されています。今回起きているウクライナ紛争も非合理的な判断によって行われており、プーチン大統領の歴史観やイデオロギーに対する国民の審判が2年後に行われる選挙で下される予定です。

国家破綻懸念を示すCDS急騰もプーチン支持率は高い

 investing.com及びロシア独立の調査会社レバダセンターによると、万が一国家財政が破綻したときに金利や元本に相当する支払いを受け取れる金融商品であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が紛争が起こるごとに急騰し、それでもなおプーチンへの支持率が高まる傾向がみてとれます(下動画)。

国防費は世界4位も、ウクライナ紛争で兵器の品質の低さが露呈

 国際戦略研究所(IISS)及びストックホルム国際平和研究所(SIPRIの調査データによると、ロシアの国防予算はアメリカ、中国、インドに次ぐ規模となっており(下動画)、GDP比ではサウジアラビアの8.4%、イスラエルの5.6%に次ぐ4.3%を占めています。一方で今回のウクライナ戦争によってロシア軍所有の兵器の品質に問題があることも世界で共有されたことで、予算のみでの軍事力は推し量れないこともわかりました。

プーチン政権期間だけで政敵・裏切者オリガルヒが多く暗殺されている

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2件のコメント

  1. ピンバック: ロシア人の亡命先国別人数の年推移 – graphl

  2. ピンバック: ロシアによる国別難民受入れ数の年推移 – graphl

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