生産動態からテレビオワコンを知る

生産動態からテレビオワコンを知る

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 テレビの販売不振が著しいです。過剰傾向だったテレビ生産は2010年をピークに急激に減少していますが、昨年は新型コロナインフルエンザの影響もあり、自宅で過ごす時間も増えたので販売数は前年比同程度かと思いましたが、販売台数は100万台を切りました。店頭にいけないという理由もあるかもしれませんが、19年からの50%減というのは恐ろしいスピードです。

 下グラフに示した近似直線通りになれば2024年にはテレビを購入する人がほとんどいなくなり、在庫の薄型テレビが投げ売り状態になることが予想されます。2005年にスタートしたYoutubeや12年にサービスが始まったAmazonプライムビデオ、15年に上陸したNetflixなどテレビの代替となるインターネットメディアが脅威となっています。







相次ぐテレビ生産事業からの撤退

2011年7月24日 東北3県除く全都道府県でアナログ放送の終了。地上デジタル放送に完全移行。
2012年1月 日立が薄型テレビの自社生産事業から撤退。生産は台湾や中国に外部委託へ。
2012年5月 東芝が薄型テレビの国内生産から撤退。中国の電機メーカーに売却。
2018年12月 シャープが液晶テレビの生産を終了
2021年5月 パナソニックが宇都宮市の工場での有機ELテレビの生産を終了。マレーシアに移転し工場は継続と。
2021年11月 三菱電機が薄型テレビの自社生産を事実上撤退へ 24年に製造終了

テレビが売れない理由についての分析

 総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の調査結果をもとに、世代別のインターネットとテレビの視聴時間の年推移と将来予測の近似直線を示したグラフを作成(下画像)。20代以下にとってテレビはすでにインターネットより視聴時間の少ない媒体となっている一方、30代~40代はネット時間とテレビ時間が互角の転換期、以降の世代はテレビの方が視聴時間が長くなっています。とはいえ、50代もまもなくインターネット時間の方が長くなる見込みですし、テレビ需要は60代以上が圧倒的と見て良いようです。

 左下グラフは国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計データをもとに作成した世代別の人口分布推移です。この予測によればテレビ視聴時間の長い60代は現状維持を推移、80代90代は増加する世代となっており、日本国民の4割に達する世代が視聴するテレビ需要は今後も安定するとみられます。しかし一方で民放キー局の広告収入(タイム広告&スポット広告)は減少しています(右下)。


 広告収入減少の理由の一つが人口減少とデフレ経済です。上グラフは年代別の共働きの割合を10年おきに調査したものですが、特に若い世代の共働き世帯は急増しており、増加人数分テレビを視聴する時間が減少していることがわかります。

 総務省調査結果での各世代の行為者率(調査日2日間の1日ごとに、ある情報行動を行った人の比率を求め、2日間の平均をとった数値)と現在の各世代ごとの推定人口をもとに視聴者数を割り出したところ、20代のテレビ視聴者は約800万人なのに対し、60代は約1400万人が視聴しており、かつ平均視聴時間も同調査結果から20代の2.5倍ということが判明していることから、高齢者をターゲットにした広告が多くなることは免れません。その場合広告のジャンルは限られてきますので増収を見込むことは困難です。またテレビ受像機の耐久年数が10年と長い、高齢者は一般的に物持ちが良いためなかなか買い換えないことも販売不振の理由の一つかもしれません。


 テレビの代替メディアとなるネット情報の信頼性について、さきほどの総務省調査で「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得るための媒体」を選択する世代別アンケートがあり、これを年推移にしたのが下グラフです。かつてインターネットは「信頼性が低いので情報源としては有用ではない」と言われていた時代がありましたが、20代はネットとテレビの信頼性が互角にまで上昇しています。一方で、60代は依然としてテレビを信頼していることがわかります。これらのことからまとめると、60代を分岐点に利用媒体が二分され、テレビは利用人口がいまだ多く信頼されている一方で、広告収入の衰退から数年後には放送局側がネットメディアに軸足を置く可能性がある状態といえそうです。

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