不慮の事故死 死因別 年次死者数

不慮の事故死 死因別 年次死者数

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 官公庁の資料を参考に、不慮の死亡事故の死因別年次死者数を掲載しています。

① スズメバチ,ジガバチ及びミツバチとの接触による死者数

 厚生労働省の人口動態統計を基に作成。ハチは日本で最も危険な自然動物です。ハチの針に刺されると蜂毒を排除するアナフィラキシーとよばれる過剰な免疫反応を起こし最悪死に至ります。蜂刺症(はちししょう)と呼ばれています。2回目が危険といわれますが、初めて刺された人が亡くなる例もあるし、100回以上刺されたという男性が初めて発症する例もあるようです(J-STAGE記事)。近年は減少傾向にあるものの、依然として毎年2ケタの死者が出ています。都市部への人口集中化によって、自然生物との接触は減少傾向にあるため、全般的には自然生物による被害は少なくなっています。以下は毒ヘビ・毒トカゲの接触による死者数推移です。


② 犬の咬傷(こうしょう)による死者数

 厚生労働省の人口動態統計を基に作成。犬の咬傷(こうしょう)による死者数も毎年数件発生しています。その多くが闘犬に使われる土佐犬の世話中やリードを外した際の被害です。2014年に北海道白老町竹浦の海岸で起きた女性溺死事件は、ずさんな飼育管理をしていた飼い主が土佐犬を放した際に起きた事故を放置した事件だったことから話題となりました(引用②)。

(引用①)土佐犬にかまれ?82歳死亡 飼育中の犬舎で 兵庫

 26日午後8時40分ごろ、兵庫県南あわじ市松帆西路で、近くの無職(人権配慮のため削除)(82)が土佐犬にかまれて意識がないと長男から119番通報があった。県警によると、(人権配慮のため削除)は土佐犬が飼育されている犬舎の中で倒れており、死亡が確認された。背中などにかまれたり、ひっかかれたりしたような傷があり、県警は土佐犬に襲われたとみて調べている。南あわじ署によると、(人権配慮のため削除)が倒れていた犬舎のおりには、知人から預かっていた土佐犬1匹がいたという。(人権配慮のため削除)は犬舎で4匹の土佐犬を飼育し、毎日夕方に餌やりなどで犬舎に行っていたが、この日は自宅に帰ってこなかった。心配した妻が様子を見に行き、倒れているところを見つけたという。

(2019年5月27日 11時28分 朝日新聞

(引用②)「間違いございません」佐治被告 白老土佐犬襲撃、主婦死亡事件初公判

 2月下旬に白老町竹浦の河川敷海岸に起きた2匹の土佐犬に女性が襲われて溺死した事件で、重過失致死などの罪で起訴された飼い主の無職(人権配慮のため削除)被告(65)=同町竹浦=の初公判が25日午後、札幌地裁苫小牧支部(守山修生裁判官)であった。(人権配慮のため削除)被告は起訴事実について「間違いございません」と起訴事実を認めた。次回公判は7月10日に行われる。

 起訴状などによると、(人権配慮のため削除)被告は2月26日午前10時半ごろ、敷生川河口右岸付近で土佐犬を散歩、運動させるのに当たり、人に危害を加えることが予想されながら、周囲を確認せず、かつ綱を確実に保持するなどの注意義務を怠ったため、その犬が付近を散歩していた同町在住の主婦(人権配慮のため削除)(当時59)にかみついた。犬に襲われた橋場さんは意識障害に陥り、波打ち際に転倒した後、海水を飲み込み、溺水により死亡した、としている。  検察側は冒頭陳述で、(人権配慮のため削除)被告の飼っていた土佐犬が事件以前に闘犬大会に出場したこと、他人の犬をかみ殺そうとした際に知人から注意を受けていたことを挙げ、「土佐犬の凶暴性を認識していた」と指摘。しかし、2匹の土佐犬を昨年9月から半年ほど散歩させず、犬にストレスを与えた上、1匹50キロ前後ある2匹を同時に散歩をさせた―とした。さらに検察側は佐治被告が「遺体を放置して逃走を図ろうとした」とし、駐在所に通報した際も「虚偽の説明をして、(事実関係を)隠蔽(いんぺい)しようとした」と述べた。  初公判には報道陣や一般市民など、多くの傍聴希望者が詰め掛け、事件への関心の高さがうかがえた。遺族席と記者席を除いた一般14席に対し、33人の希望があり、同支部では異例の抽選が行われた。

(2014/6/26 苫小牧民報電子版

飼い主に6300万円支払い命令 土佐犬襲撃事件に判決

 昨年2月下旬に白老町竹浦の海岸を散歩していた女性が放し飼いの土佐犬に襲われ溺死した事件で、札幌地裁室蘭支部(沓掛遼介裁判官)は、重過失致死罪で懲役2年6カ月の判決が確定している(人権配慮のため削除)受刑者(65)に慰謝料など計6300万円の支払いを命じる判決を下した。判決は1月28日。

 佐治受刑者は昨年2月26日午前、同町竹浦の海岸で2匹の大型土佐犬を散歩させるに当たり、周囲を十分に確認せずに犬をつなぐ綱を手放したため、その犬が付近を散歩をしていた同町竹浦の無職、(人権配慮のため削除)さん(当時59)に襲い掛かり、転倒させて溺死に追いやった。その後、5月14日に札幌地裁苫小牧支部に起訴、7月31日に懲役2年6カ月、罰金20万円を言い渡され、8月14日に刑が確定した。現在は栃木県の喜連川社会復帰促進センターに収容されている。今回、訴えを起こしたのは(人権配慮のため削除)さんの夫(人権配慮のため削除)(66)と3人の息子。服役中の(人権配慮のため削除)受刑者は今年1月14日の口頭弁論に出頭せず、その他の準備書面も提出していなかったことから、同支部は原告の主張を認めた。(人権配慮のため削除)さんは5日、苫小牧民報社の取材に対し、民事訴訟に至るまでの経緯を「2年半の刑事罰を終えて被告が出てきた時に、『これで罪を償った』と思ってほしくなかった」とし、判決判断については「支払い能力いかんの問題ではない。賠償は遺族の抱える悲しみ、悔しさです」とその思いを語った。

(2015/2/6 苫小牧民報電磁版

③ クマによる死者数

 環境省クマ類出没対応マニュアル報道資料発表の「クマ類による人身被害について」を基に集計。犬ほど身近な存在でないためか、クマによる死者数は年に1人か2人程度となっています。


※ サメ・ワニ・ピラニアその他の危険動物による死者数

 日本では被害がほとんどない自然動物ですが、海外では死亡事故が時々発生しています。


④ 落雷による死者数

 厚生労働省の人口動態統計と警察庁による警察白書を基に作成。株式会社フランクリンジャパンによるデータを基に作成した近年の日本の落雷発生件数(下グラフ)は横ばいかやや増加傾向にあるものの、落雷による死者は年々減少傾向にあり、1960年ごろには年に60名近くの死者を出していましたが、近年では死者は毎年数人となっています。この理由について、東京大の横山茂先生によると、落雷の被害を受ける多くは平原や登山などの外出中であることから、(1)農業従事者の減少、(2)避雷設備が充実している都市部への人口集中、(3)青少年らが外で遊ばなくなったといったことなどを挙げています。


⑤ 氷、雪、アイススケート,スキー,ローラースケート又はスケートボードによる転倒死者数

 厚生労働省の人口動態統計を基に作成。アイススケート、スキー、ローラースケート等の転倒死に関しては、趣味の多様性の影響か減少傾向にあります。


⑥ 水泳プール内、及びプールへの転落による溺死及び溺水

 厚生労働省の人口動態統計を基に作成。1990年代は20人以上の死者を出していましたが近年は一桁になっています。プール時間の減少か、官公庁、報道による啓蒙活動による影響が考えられます。

⑦ 自然の水域内及び水域への転落による溺死及び溺水

 厚生労働省の人口動態統計を基に作成。20年前は死者数1400人を超えていましたが、近年は半数まで減少しています。


⑧ 餓死者数

 厚生労働省の人口動態統計を基に作成。餓死者数は年々減少傾向でしたが、2013年に22人まで下がったあと、ほぼ横ばいとなっています。


⑨ 誤嚥(ごえん)による窒息死死者数

 厚生労働省の人口動態統計を基に作成。毎年4000人以上の死者を出していますが、多くは高齢者です。消費者庁によると高齢者の誤嚥事故件数の多い食品は順に「おかゆ」「もち」「御飯」と「もち」よりも「おかゆ」の方が多いそうです。のどに詰まりやすい食品というよりも、高齢者の体力が限界に衰えた最後の食べ物という見方がしっくりきます。この誤嚥(えん)と浴室での溺死(グラフ下)、転落死(グラフ下)を合わせると、高齢者の死因としては交通事故の死者数(グラフ下)を上回ります。
 


⑩ 浴槽での溺死者数

 浴槽内での溺死は年々増加傾向にあります。多くが高齢者です。一方、交通事故死者数(グラフ下)は減少傾向にあり、10年前と比べると浴槽内での死亡件数はおよそ1000件近く増え、交通事故死者数は2000件近く減少しています。


⑪ さまざまな転落・転倒事故の死者数


⑫ 交通事故死者数と高齢者(65歳以上)の死者数

 警察庁の交通事故の発生状況」「令和元年中の交通事故死者数について」などをもとに作成。交通事故死者数は、高度経済成長期の1969~1971年をピークに減少し、バブル期に再び増加しましたが、近年は前年度の死者数を上回ることなく、1970年ピークの16,765人から5分の1以下に、バブル期から見ても3分の1以下まで減少しています。


⑬ アルコール中毒死者数

 厚生労働省の人口動態統計を基に作成。アルコール中毒はわずかに減少傾向にありますが、依然として毎年100人前後の死者数を出しています。


⑭ 熱中症による死者数

 気象庁の大都市における熱帯夜日数の長期変化傾向と厚生労働省の人口動態統計を基に作成。都市圏の真夏日及び猛暑日日数と熱中症死者数の相関グラフは、環境省熱中症予防情報サイトの熱中症環境保健マニュアル 2018など多くのサイトで見られるので、より長い時間高温環境にさらされる熱帯夜の日数と熱中症死者数のグラフを作ってみました。手前味噌ですが前者グラフよりも相関は強くみられる(わかりやすい)のは気のせいでしょうか。なお、このグラフだけ横軸が右へ行くほど現在になる向きになってしまいました。

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