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少子化で客数が減少しているはずの学習塾売上が近年増加傾向にあります。この件について、少し考察してみました。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」結果を元に、学習塾受講料売上額と受講生数の年推移をグラフ化してみたのが以下の図です。学習塾売上額は年々増加傾向にありましたが、2021年には前年度比800億円増の大幅増となっています。原因として考えられる理由に「学校の休みが多くなり、家にいる時間が長くなった子供の勉強不足を心配した」があります。塾講師の立場からみても、脱ゆとり以降各教科書の内容は年々増加する一方、新型コロナによる休校でさらに指導時間が縮められることによって教師の指導は丁寧さよりスピードを重視しなければならず、「授業がわからない」子は激増しているだろうと容易に想像できます。
下は学習塾事業所数と従業者数の年推移グラフです。新型コロナパンデミックが起きた2020年に事業所数は前年比約1万、従業者数も約6万増となっています。
下は多少雑な換算ですが、特に入塾数が多い「10歳~15歳人口」から「月平均受講生数」を割った入塾率を出したものです。2006年には12%程だった入塾率は昨年19%まで増加しており、約5人に1人が通塾する換算になります。
下は月平均売上高を月平均受講生数で割った「一人当たりの受講料」です。少子化で客数は減少する一方、一人当たりに対する投資額が2020年以降増加しています。コロナによる休校やインターネット授業の影響で「わからない」子供が増加、各自治体による支援授業なども開催されているものの、それだけでは補いきれない状態で、塾契約も2科目、3科目の指導を5科目に増やす生徒が増加しているのではと予想されます。
運行業、旅行・食品その他サービス産業の廃退からYoutubeを筆頭とするインターネットサービスの隆盛までコロナ禍によって日本の社会構造が大転換となっている昨今ですが、少子化で衰退すると思われた塾業界にとってみれば新型コロナパンデミックは転じて福をもたらしたようです。
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