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経済成長はピークを過ぎたと指摘されながらも自動車販売増加率は現在も首位を維持、日本の誇るトヨタでさえ国際的な経済制裁が強まる中で進出を決めるほど看過出来ない中国市場ですが、一方で自動車の負の側面である交通事故の中国の実情についてまとめられているサイトがなかったので調べてみました。
まず中国といえば世界最多の人口を誇る大国です。とはいえ中国の人口がはじめから圧倒的に多かったわけではありません。下は中国とインドを除外した世界の人口年推移です。インドネシアやアメリカ、ブラジルの人口が増加している一方、日本やロシア、韓国などはピークを過ぎていることなどがわかります。次に中国とインドを加えたものをご覧ください。戦後直後はアメリカの3倍強程だった人口が2020年には4倍以上に増加。この人口の増加スピードを見ると、経済成長の勢いも感じざるを得ません。
下は国別の自動車の保有台数の推移グラフです(左)。日本国内の自動車保有台数が20年間ほぼ横ばいの中、中国は世界最多の自動車保有国であるアメリカに猛追しており、数年後には逆転する勢いを示しています。そして国民一人当たりの自動車保有台数(グラフ右)でも国民の8割以上がすでに保有しているアメリカに対し、中国はいまだ20%にも満たない保有率で上昇傾向にあり、トヨタでなくても自動車業界の成長を見込む上で中国は魅力の国であることは間違いないようです。
さて本題となる交通事故、特に死亡事故に着目して国別で人口一人当たりの割合を出してみました。それによると、韓国やアメリカが他国と比べて際立って多いことがわかりました。アメリカの事故死者数が15年から増加しているのが興味深いところですが、注目していた中国は、人口が多く車の保有台数も普及途上のためかオーストラリア程度の割合でした。
しかし、交通死亡事故を国の自動車保有台数で除した割合だと、中国はとんでもない比率となりました。下は自動車10万台あたりに何人の交通事故死者数が出るかを算出した年推移のグラフです。中国は2010年ごろは日本の10倍以上、19年ですら日本の5倍ほどの死亡事故リスクを抱えていることがわかりました。中国だけでなく韓国も同様に死亡事故が多い国で、アジア人特有の特徴が影響しているのか、それとも普及している自動車の安全性能や安全運転の啓蒙活動が足りないだけなのかは引き続き調査・分析が必要です。