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国際社会のIT化に伴い日本もキャッシュレスが進む中、材料となる資源価格の高騰も相まって硬貨の希少性に拍車がかかりそうです。このページでは、硬貨に関する指標を集めてみました。
進むキャッシュレス化
日本銀行の通貨流通高統計によると、硬貨別では1円、5円、10円、50円硬貨の流通枚数(いわゆる「タンス預金」)が減少傾向にあり、対して500円硬貨や1万円札の流通量は過去最高となっています(下図1、2)。ちなみに2022年8月直近の紙幣の流通枚数が減少に転じたのは、円安インフレに伴い金融資産に投資する人が増えたためと思われます。
(図1)硬貨別流通枚数の年推移(1980-2021)(出典:日本銀行)
(図2)紙幣別流通枚数の年推移(1982-2022/8)(出典:日本銀行)
キャッシュレス化が進む背景にはユーザビリティ(利便性)の他、新型コロナパンデミックによって注目された衛生面、インフレによる物価高、また善悪両面有する非匿名性のほか、資源の節約という面もあります(下図3)。造幣局は硬貨の製造コストを非公表としていますが、硬貨の材料である銅やニッケル等資源価格が近年著しく高騰しており、特に銅を用いている五円硬貨の1枚当たりのコストは資源価格だけで額面の7割に及び、人件費や電気等設備代を含めれば額面を優に超えているのではないかと思います(下図4)。発行枚数の少ない製造年度の硬貨にプレミアムがつく現象がありますが、このまま年々増加する「マネー」の代替品として硬貨を使用し続けると、資源需要はさらに高まり希少性を高めてさらに高騰する悪循環となるため、通貨としての硬貨の製造は終焉に来ていると感じています。
(図3)硬貨材料価格の年推移(1960-2022/7)(出典:世界銀行)
(図4)材料価格÷硬貨額面の年推移(1960-2022/8)(出典:造幣局、資源価格は世界銀行)
希少性の高い硬貨一覧
希少性が高い硬貨とは発行枚数が少ない硬貨であり、発行枚数が少ない硬貨は以下の製造年の硬貨になります(下図5)。発行枚数の少ない硬貨は付加価値が付くとの認識が広がっており、流通してはいるものの市場で遭遇することはあまりないため、図中で示す硬貨遭遇割合は正確ではないので参考程度に見てください。