忙しない工場の雑音の中で続く日々の暮らしに一時の癒しを求めて、水の音に憧れ16年4月に始めた水草水槽。脇役として入れたたった一対のグッピーが、あっという間に子孫を増やし、今では水槽の主役になっています。
魚にとって水は、自分たちの「空気」のようなもの。
そう思って毎日水槽の半分以上を水替えしているので、その空気を清浄化する水質調整剤は、魚だけでなく、自分の安心感をも満たす必要不可欠な存在です。なのに原料・効能が不明瞭だから選ぶのに苦労しました。
飼い始めた当初は「中和剤を入れないと魚は死ぬ」という程度の知識しかなく、とりあえず名前だけで「パーフェクトウォーター」を選び毎日水替えをしていましたが、いつの日か類似品が、さらに同じメーカーからも数種類出ていることに不審を覚え、調べてみました。
主要な水質調整剤一覧
① エーハイム フォーインワン(4in1)
パーフェクトウォーターを切らした時に近くのDIY店に売られていて使用。パーフェクトウォーターより液体がサラサラで、臭いもない。アルカリ性。ビタミンBを含有とのことだが、B1なのかB2なのか、いくつかは不明。
② テトラ (Tetra) パーフェクト ウォーター
最初に買った水質調整剤なので、下手に変更せずこれを使用し続けています。特徴は①入れてから早くカルキ抜きできる速効性と、②濃縮されているのでコンパクトなところ。③ややアルカリ性なのでグッピーの負担が軽いこと。
③ テトラ (Tetra) アクアセイフ プラス
一番使われているだろう水質調整剤。最初に買ったのがパーフェクトウォーターだったので、あまり使う機会なし。酸性
④ テトラ (Tetra) コントラコロライン プラス
シンプルな中和剤。値段が安く、薬剤との併用も可能なので、使いやすい。ややアルカリ性。
ネットの製品情報では違いがわからなかったので、テトラのサポートに電話して聞いてみましたが、その女性も明瞭に説明できる知識がなく、電話口から各製品ラベルの裏側を見比べて説明している風だったので、問い質すのを諦めました。
数日の調べでわかったことは以下にまとめました。なおpHは測定器を購入して調べました。
水質調整剤の製品比較
製品名 | 製造元 | \/500ml \/1000ml |
淡水 海水 |
液体色 | pH | ※1カルキ 抜き |
※2重金属 無害化 |
粘膜 保護 |
薬剤 併用 |
使用量 | 速効性 | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アクアセイフプラス | テトラ | \2068 \3576 |
淡水 海水 |
青色 | 3.9~4.0 | ○ | ○ | ○ | × | 27lに15ml | ○ | ヨウ素化合物 ビタミンB1 |
パーフェクトウォーター | テトラ | \2230 |
淡水 海水 |
透明 | 6.8~6.9 | ○ | ○ | ○ | × | 12lに2ml | ◎ | |
コントラコロライン プラス | テトラ | \1023 ¥1848 |
淡水 海水 |
緑色 | 7.3~7.5 | ○ | ○ | × | ○ | 27lに6ml | ○ | ヨウ素化合物 |
フォーインワン | エーハイム | \2100 |
淡水 |
透明 | 8.2 | ○ | ○ | 〇 | × | 10lに2ml | ○ | ビタミンB 白濁り除去 |
〇 用語の解説
カルキ
水道水中に微量に含まれる塩素のこと。消毒剤として入れられるが、優れたろ過装置を保有する自治体の水道水ほど微量。クロラミンも消毒効果のある塩素と化合した窒素化合物。
重金属無害化
銅、亜鉛、カドミウムなどを無害化するという意味。無害化方法は不明。
銅、亜鉛
水道管から溶出して検出されることがあるが、サプリメントとして販売されるミネラルの一種でもあり、高濃度でない限りは無害。
カドミウム
毒性の強い物質で、体内に長期間混入すると腎臓機能への障害を来す。イタイイタイ病の原因物質として有名だが、通常河川に含まれることはまれで、鉱山廃水や工場排水から混入する可能性があるものの、日本では水道法の水質基準によって厳しく規定されているため、一般的な水道水ではほとんど検出されない。
結局、グッピーの中和剤としては可もなく不可もないパーフェクトウォーターを今後も使用していきます。
自分がこれにした決め手は以下の3点
- アクアセーフプラスはpH4.0前後の酸性なので、弱アルカリ性を好むグッピーなどの魚には、ほぼ中性のパーフェクトウォーターの方が負担が軽いこと
- アクアセーフプラスより速く中和されるので、毎日水替え派には効率的であること
- アクアセーフプラスより10Lに対して入れる容量が少ないので、ケースがコンパクトであること
不満点は①値段が高いこと、②ラベルに原料が書いていないこと。
(2)はすべての水質調整剤にいえることですが、犬猫の食べ物には表示義務を定めた「ペットフード安全法」がある一方、熱帯魚や水生生物にはこのような法律はありません。法律上表示義務がないものでも、魚にとっては“空気”に混ざる物質なので、飼い主は安心が欲しい。テトラ、エーハイムは共に環境を大事にするドイツのメーカーさんです。「原料表示」は販売戦略的に容易な決断ではないですが、ぜひご検討をお願いします。
※ この記事を書いたあと、他メーカーからも格安の水質調整剤が各種発売されました。また、昔から使われているハイポと調整剤の違いも調べたくなったので、調べたらまた追記する予定です。