日本の国防2022

日本の国防2022

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 防衛省が毎年公表している「防衛白書」は内容が充実して非常に読み応えがあるのですが、反面必要な情報を取り出しにくいので、重要な資料やデータをすぐに閲覧できるようにピックアップしています。また明治期の軍事費推移や海上保安庁の公開データもグラフ化して公開しています。

日本と主要国の国防費(防衛費・軍事費)の推移

 日本の国防費用は国際協調の観点からか毎年5兆円程度で歳出の5%、GDPの1%程度に抑えられています。しかしながら、日本の近隣にはロシア、北朝鮮、中国といった軍事的脅威となる国が多く存在していることから、国防費の拡大が必要とされています。ただし国防費については国際的に統一された定義がないこと、秘匿性の高い項目のため国防費の内訳の詳細が明らかでないことなどから各国の正確な国防支出を把握することは困難です。以下は防衛白書の各国データを元に、円換算して比較した年推移グラフです。

国防(防衛)予算は慣例で歳出の5%、GDPの1%と抑えられています。下は財務省公表の歳出決算額(2021年は補正予算額)、GDP統計を元に算出した年推移グラフです。

帝国主義時代からの軍事費と歳出に占める軍事費割合の推移を、大蔵省昭和財政史編集室編「昭和財政史第四巻―臨時軍事費―」を元に作成しました。

年度緊急発進回数の推移(1958-2021)

下は防衛省・統合幕僚監部による公表データを元に作成した緊急発進回数の年推移を表したグラフです。年度緊急発進回数は2016年が過去最多の1168回を記録。うち851回が中国機を対象にした出動でした。

国別緊急発進実施回数の推移(2003-2021)

 防衛省の公表データを参考に国別の緊急発進実施回数の推移をグラフ化しました。中国は習近平政権に代わってから緊急発進が急増していることがわかります。下は緊急発進の対象となったロシア機と中国機の飛行パターン例を示した図です。中国機は第一列島線内を、またロシア機は日本海域を竹島周辺まで南下し、太平洋側からも日本の周囲を飛行していることがわかります。2021年はロシア機がより活発且つ雑(もしくは過激)に飛行している感があり、21年9月にはAn-26が、22年3月にはロシア製ヘリコプターが北海道北方上空をそれぞれ領海侵犯しています。

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2020年度
2021年度

中国公船による尖閣諸島接近状況(2013-2021)

 下は海上保安庁が公表する「中国海警局に所属する船舶等の尖閣諸島周辺の接続水域内入域と領海侵入隻数」を月別に集計したグラフです。中国公船が2013年から22年5月まで接続水域に入域しなかった月はなく、領海侵犯ですら1度もなかった月は2018年12月と2020年9月の2回のみと自国領のように振る舞い侵入している状況で、特に2019年以降接続水域への入域が多くなっています。下は侵入が確認された公船の画像です(海上保安庁から転載しています)。

 下は海上保安庁が公表している不審な外国海洋調査船(ほぼ中国)の行動状況をあらわした地図です。

世界の主な現行軍事同盟

日本

◎ 日米安全保障条約(新日米安保)

外務省)発効年:1960年(昭和35年)6月23日 署名:岸信介首相、クリスチャン・A・ハーター国務長官

「日本国の施政の下にある領域における、日米いずれか一方に対する武力攻撃」に対し、「共通の危険に対処するよう行動する」(第五条)。米国が日本を防衛する義務を負う以上、日本は自らの防衛のために自助努力を行ない、また米国に対しても、防衛面で協力する意思を持つことが要求される(第三条)。

◎ 安全保障協力に関する日豪共同宣言(日豪安保共同宣言)

外務省)発効年:2007年(平成19年)3月13日 署名:安倍晋三首相、ジョン・ハワード豪首相

 日豪が以下の項目に於いて積極的に協力することを定めた。(1)国境を越える犯罪との戦いに関する法執行(麻薬・前駆物質の不正取引、密入国及び人身取引、通貨偽造、並びに武器の密輸を含む)、(2)国境の安全、(3)テロ対策、(4)軍縮並びに大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散対抗、(5)平和活動、(6)戦略的評価及び関連する情報の交換、(7)海上及び航空の安全確保、(8)災害救援を含む人道支援活動、(9)感染症大流行の発生時を含む緊急事態対応計画

◎ 日本国とインドとの間の安全保障協力に関する共同宣言(日印安保共同宣言)

外務省)発効年:2008年(平成20年)10月22日 署名:麻生太郎首相、マンモハン・シン印首相

 日印が以下の項目に於いて積極的に協力することを定めた。(1)アジア太平洋地域情勢、長期的戦略及び国際的課題に関する情報交換及び政策調整、(2)アジアにおける多国間枠組、特に東アジア首脳会議、アセアン地域フォーラム及びアジア海賊対策地域協力協定における二国間協力、(3)2006年5月に防衛首脳間で署名された共同発表の枠組みにおける防衛対話・協力、(4)海上保安当局間の協力、(5)輸送の安全、(6)テロ及び国境を越える犯罪との闘い、(7)平和維持及び平和構築に関する経験の共有、(8)災害対策、(9)軍縮・不拡散

アメリカ・欧州

北大西洋条約機構(NATO)

発効年:1949年4月4日 加盟国:(下記加盟順)

 「集団防衛」「危機管理」及び「協調的安全保障」の三つを中核的任務としており、加盟国の領土及び国民を防衛することが最大の責務外務省「NATO概要」

◆加盟国
ベルギー(1949)
カナダ (1949)
デンマーク (1949)
フランス (1949)
アイスランド (1949)
イタリア (1949)
ルクセンブルク (1949)
オランダ (1949)
ノルウェー (1949)
ポルトガル (1949)
イギリス (1949)
アメリカTHE UNITED STATES (1949)
ギリシア (1952)
トルコ (1952)
ドイツ (1955)
スペイン (1982)
チェコ (1999)
ハンガリー (1999)
ポーランド (1999)
ブルガリア (2004)
エストニア (2004)
ラトビア (2004)
リトアニア (2004)
ルーマニア (2004)
スロバキア (2004)
スロベニア (2004)
アルバニア (2009)
クロアチア (2009)
モンテネグロ (2017)
北マケドニア (2020)

加盟希望国:ボスニア・ヘルツェゴビナ、ジョージア、ウクライナ
加盟申請済:フィンランド、スウェーデン

中国

上海協力機構(SCO

発表:2001年6月15日 発効:2003年9月19日 加盟国: (下記加盟順)

 ウェブサイトによると同機構は下記加盟国間の政治、経済、貿易、科学技術、文化、教育、エネルギー、運輸、観光、環境の効果的な協力を促進することが目的。地域の平和、安全、安定を維持し保証するために協力し、民主的で公正かつ合理的な新しい国際政治経済秩序の確立を促進するとのこと。オブザーバー国としてインドも参加しているが、純粋な軍事同盟とは程遠い。

◆加盟国
カザフスタン 中国 キルギスタン ロシア タジキスタン ウズベキスタン

◆オブザーバー国
アフガニスタン ベラルーシ インド イラン モンゴル パキスタン

◆対話パートナー
アゼルバイジャン アルメニア カンボジア ネパール トルコ スリランカ

自衛隊の主な行動要件と武器使用権限について

 自衛隊の行動要件と武器使用権限については、自衛隊法の第76条~79条、81条~84条に記載されています。以下は防衛白書にまとめられている資料画像です。

主要部隊の所在地マップ

防衛相「防衛白書」令和3年版から転載しています。

主要部隊などの所在地(イメージ)

日本と比較した世界の戦車保有数

日本の戦車保有数は防衛相『防衛白書』(令和4年版)、その他は国際戦略研究所(ISS)、キール世界経済研究所、Wikipedia英語版などを元に概算。ロシアの戦車損失数はolyxを参考に概算しています。

部隊、戦車、主要火器、主要航空機、主要艦艇に関する資料

防衛相「防衛白書」令和2年版、令和3年版からそれぞれ引用しています。

陸上自衛隊の装備品
海上自衛隊の装備品
航空自衛隊の装備品
資料5の表
資料6の表

防衛年表

防衛相「防衛白書」令和3年版資料編にある防衛年表です。1945年~2021年の防衛と自衛隊の活動に関する全ての事項が時系列で収められています。

防衛年表(1)
防衛年表(2)
防衛年表(3)
防衛年表(4)
防衛年表(5)
防衛年表(6)
防衛年表(7)
防衛年表(8)
防衛年表(9)
防衛年表(10)
防衛年表(11)
防衛年表(12)
防衛年表(13)
防衛年表(14)
防衛年表(15)

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